設立趣旨文

 現在、メディアの発達とともに、映画、音楽、演劇などの芸術/文化は家庭にいながらにし観ることができます。しかし、多くの人々が芸術/文化を身近なものと感じているかといえば、そのように実感している人は多くはないでしょう。 日本社会ではまだまだ芸術/文化は私たちの生活から遠いものです。

 戦後、日本社会は、経済的豊かさを追求してきました。そのなかで日常から芸術/文化が切り捨てられてきました。極度の競争や過度の労働が、芸術/文化を人々の生活から遠いものにしてきたのです。それは人と人が出会う「コミュニケーションの場」の喪失、「感性の価値」の切り捨てにもつながりました。

 しかし、他者とのコミュニケーションや感性を育むことは、人間にとって、これからの社会において、とても重要なことです。芸術/文化は、さまざまな「違い」を越え、人々のなかに幸せや喜びを呼び起こす力をもっています。「違い」を越え、感性に働きかける芸術/文化こそ、これからの社会に必要なものです。

 芸術/文化を媒介にし「年齢」「性別」「国籍」などの違いを超え、市民が集うことにより、緩やかなコミュニケーションが育まれます。芸術/文化は「人」と「人」を結びつけ、地域社会を活性化させます。そのような芸術/文化が、これからの豊かで多様な市民社会を形成するうえで大きな役割を担うと、私たちは考えます。

 私たちはこれまで、子どもたちとともに、演劇鑑賞会、コンサート、地域フェスティバルなどの文化的なイベントに取り組んできました。その経験から、芸術/文化は、世代や考え方の垣根を越え、人々の心を豊かにする力を持っていると確信しています。そういったことを踏まえ、これからの社会にこそ誰もが「身近に」芸術/文化を享受できる状況をつくることが必要だと考えます。

 私たちは、スペース「RAFT」を拠点として、演劇、ダンス、パフォーマンス、音楽演奏、伝統芸能などの文化企画を行っていきます。それらの企画を通して、地域社会に芸術/文化を広く浸透させていきます。それと同時に、若手アーティストへの発表の場を提供し、積極的に若手アーティストの表現活動を支援していきます。その他、ワークショップやシンポジウムなどを開催し、アーティストと市民が交流できる場を提供していきます。

 私たちは、これらの社会的使命を果たしていくために、NPO法人として活動していきます。NPO法人の運営にあたって、法に則った運営を行い情報を広く市民に公開することで、社会的信用を築いていきます。そして、芸術/文化を媒介とした新しく柔軟なつながりを多くの人々とともに育んでいきます。

特定非営利活動法人らふと理事長  亀田朗子

概要に戻る