2013年2月22日(金)~24日(日) |
|
illustration Akiko Koga |
とても大きなかなしい出来事に見舞われたとき、既に死んでしまっている「あの彼」が「もし、いま、生きていたならば」と考えるのは、センチメンタリズムにまみれた安易な逃避かもしれません。 それでも例えば、彼があと十数年長く生きていたら、例えば、あの大きな戦争の「あとの日本」を経験していたら、どんな見えないものを見て、どんな聴こえない音を聴いていたのか。 やはり私も「宮澤賢治の不在」を追いかけるようにして、想像してみたくなりました。 * * * 『うすあかりの国』は、彼の小説「ひかりの素足」の中の章題のひとつで、子供が迷い込む地獄の光景を描いています。 まずは、その示唆的な章題と、本文からすくい取ったこの言葉をお借りして、始めてみたいと思います。 「けれどもそこはどこの国だったのでせう」 (「うすあかりの国」上演に寄せて:櫻井拓見) about 【文学+−×÷】 文学には、さまざまな物語、思想、哲学、イメージが言葉として記されています。この【文学+−×÷】は、近現代に書かれた文学作品(言葉)をモチーフとして、現在を照らし出そうという企画です。第一回の今回は、宮澤賢治の作品を演劇カンパニーchon-muopの方々に独自の感覚・解釈で上演していただきます。chon-moup作品は、日常感覚をちょっとずらし、別の次元(ここに既にいない人や動物やモノの視点)から私たちの暮らしを描きます。宮澤賢治の世界観とchon-muopが出会うことによって、現れるもの。そこから浮かび上がってくるもの。どうぞご期待ください。 (RAFT) about chon-muop(チョンモップ) 2005年活動開始。櫻井拓見、澁谷橙、たけうちみずゑ。団体名は、とある国に棲息する「いいにおいがする動物」の名前から。漂うにおいのように、どこからどこまでがわたしたちの演劇なのかわからない。 http://www.chon-muop.com |